昨日、郡山にて”第2回ふくしま復興ワインセミナー”に参加してきました。
川内村では「ワイン用のブドウの苗木を植えて産業にしていこう」っていう動きがあるんだけど、これは何回かお伝えした話。構想としては川内村だけじゃなくって富岡町から猪苗代湖のあたりまでにワイン用のブドウを植えて”ふくしまワインベルト”にしようっていうこと。だからセミナーのタイトルに”川内”って入っていないんだね。
昨日のプログラムがこちら↓

とても全部は無理なんで、早稲田大学の福田先生のお話からドラ左エ門的視点でエッセンスをご紹介しまっす。
-----------------------------
講演タイトル いいワインはどうやってできるか? -日本におけるぶどう栽培とワイン醸造の関係-
1.ワイン作りは農業か工業か?
日本でお酒と言えば”日本酒”っていうのが江戸時代までの常識。
原始的なワインであれば、さほど技術もなく作れちゃう。だから農家さんが作ることができた。
そしてワインはご承知の通り生のぶどうから作る。だから遠くへ運搬することができない。その結果ぶどうの産地でワイナリーが発展した。
対する日本酒は乾燥したお米が原料。だから比較的消費地に近いところまで運んで醸造することができた。そして杜氏と言われるプロが手間暇かけなければおいしい日本酒ができない。
つまりワインは土地密着型のお酒で、日本酒は土地離れ型のお酒。ま、言ってみれば日本酒は蔵元っていう工場で作られたお酒だって言う事。
そして日本酒の問題点。日本酒も主食も原料は米、だから不作の年なんかは大変。
そこで明治政府は考えた→「日本酒の代わりにワインを飲んでもらおう。」 それは一石三鳥を狙った妙策。
①日本酒の生産減で余ったお米を主食にまわす。
②ワイン用のぶどうは水田に向かない水がないところの方が適しているんで、産業の幅が拡大する。
③失職した武士の受け皿としての産業
でも失敗。原因は日本の文化。
日本酒は酔っぱらうための酒。地域の人たちがめでたい時なんかに主食を転用して作ったお酒を、思う存分飲むのが文化。
対するワインは食事の一部としてたしなむ物。
生き残ったのは甘いワイン。有名なのは赤玉ポートワインだよね。これはワインに香料なんかを加えて調味したもの。これは輸入ワインをブレンドして香料を加えるから、決して農業じゃないもんね。
長くなりそうだから、続きはこちらからどうぞ。
2.ワイン作りにおける栽培者と醸造家の関係
明治政府の政策は殖産興業。つまり農業軽視。
戦後の高度経済成長も主役は工業や商業。その結果農家は”三ちゃん農業”
※じいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんが農業をやって、父ちゃんは現金収入を得るために働きに行ったワイン作りも有名なのは大規模なメーカー(=工業)
農家さんはっていうと
酒造免許の取得がとっても難しいんで、自家製ワインなんて作れなかった。一方農地法により企業も農地を取得できないから、ワイナリーなんてなかなかできなかった。
だからぶどう栽培をする人は生食用のぶどう農家として発展。これのが高く売れるしね。
ワイン用のぶどうは食用のぶどうの余ったものや傷物。
だからワイン醸造家はあまり質の良くないぶどうで、どうやったらいいワインを作れるかという方向に発展してったんだね。
こうした経緯からワイン醸造家とぶどう農家は対立する構図ができちゃった。
3.ワイン作りが農業になるとはどういうことか
近年、ワイン作りに新規参入する人はワイン用のブドウ栽培から始める。
いいワインはいいぶどうからこれがヨーロッパのワイン産地では当たり前。
でも日本じゃ自分でぶどうから栽培しないといいワインができない構造に成っちゃってた。
現代は時代が変わった。
お酒は酔うために飲む物じゃなくって、食卓を楽しくする。→食中酒としてのワインの成立。
-----------------------------
こんなようなお話でした。
余談ですが、国産ワインと日本ワインは違うんだって。
国産ワインは、輸入したワインをブレンドしたものでOK。対する日本ワインは日本で採れたぶどうから作ったワイン。
ていうことは、今まで飲んでた国産ワインはどのの国のブドウか判らないってことだよね。(目からウロコ)
講演していただいた方々、準備をしていただいた方々、ありがとうございました。
楽しい時間を過ごすことができました。